80年代から90年代初頭にかけてのアイドル・サウンドを現代にアップデイトする清純派ユニット、「ハコイリ・ムスメ」が7月26日に東京・虎ノ門ニッショーホールで5周年記念セカンド・コンサート「ハコイリ・ムスメ2ndコンサート~癒しとやすらぎとトキメキの世界へ~」を開催した。
開演前の、いわゆる“影アナ”からファンは喜びっぱなしだった。というのも、我妻桃実(三代目リーダー)、鉄戸美桜(二代目リーダー)、小松もか(初代リーダー)が集まってそれを担当したからだ。そしてこの3人は、2014年7月にハコムスが発足した時のオリジナル・メンバーでもある。
パフォーマンスは、我妻桃実(リーダー)、吉田万葉、井上姫月、塩野虹、寺島和花、戸羽望実、依田彩花、山本花奈の現ハコムスによって始まった。まるで避暑地に来たお嬢様といった感じの衣装とたたずまいで歌い始めたのはオリジナル・ソング「レモネード・キッス」(15年7月リリース)。さらに「抱きしめて」(オリジナル・アーティスト:チェキッ娘)、傘を使った振り付けが印象的な「アンブレラ・エンジェル」(同:おニャン子クラブ)へと続く。この「アンブレラ~」、おニャン子のセカンド・アルバム『夢カタログ』のB面3曲目であり、たぶんおニャン子のライヴでは披露されたことがないのではと思う。それをピックアップして2019年の真夏に届けるハコムスとそのスタッフは素晴らしい目の付けどころの持ち主ではないか。
「ハコいっぱいのプレゼント」(16年10月リリース)、「泣かないでエンジェル」(オリジナル・アーティスト:Qlair)、「無言のファルセット」(同:CoCo)、「Be My Diamond!」(同:ribbon)をさわやかに披露して、我妻以外のメンバーは退場。かわって門前亜里(15年7月卒業)、内山珠希(16年3月卒業)、神岡実希(17年5月卒業)、鉄戸美桜(18年3月卒業)が登場する。小松もか(16年7月卒業)は客席からそれを見ている。“昔とおんなじ自己紹介をしてよ”という我妻の無茶振りに4人は照れながらも応え、「君の歌、僕の歌」(同:CoCo)、この季節に欠かせない極上夏ソングのひとつ「夏色キッス」(同:アイドリング!!!。複数のメロディが重なって絡み合うところが実に美しい)を歌った。それにしてもこの4人が再びアイドルとしてステージに立つ機会を見ることができようとは。加えて内山のギャル+セレブ的装い、往年よりも一段とワイルドさと切れ味を増したぶっちゃけキャラに出会えるとは。
今年3月に卒業した星里奈は、現ハコムスを従えて「哀愁のカルナバル」(オリジナル・アーティスト:河合その子)を歌ったが、原曲のサビに出てくる、あのそっくりかえるようなふりつけを全員で再現していたのにも驚いた。星里奈は相変わらず歌がうまい。
卒業生たちと現ハコムスの“交歓”は、まだまだ続く。15年4月にリリースされた記念すべき初のオリジナル・ソング「微笑みと春のワンピース」、内山の理念“ラブピースワールド”が盛り込まれた「夏に急かされて」(15年7月リリース、個人的には“boy meets girl”というところがすごくいい)、“トレイン”を導入したダンスが大人数グループならではの迫力を生む「なかよし」(オリジナル・アーティスト:上田愛美)をガッチリ届け、続いては再び現ハコムスのステージ。
海賊をイメージしたという、トロピカルでカラフルな衣装に着替えて、「レモンドロップ」(オリジナル・アーティスト:アイドリング!!!)、「水平線でつかまえて」(同:三浦理恵子)、名曲「海へ行こう~Love Beach Love~」(同:チェキッ娘、作曲はレベッカの土橋安騎夫)などを快演。“この楽しい時間がずっと続きますように”という願いを込めて「夏休みは終わらない」(同:おニャン子クラブ)、「Let’s Party Time!」(16年7月リリース)へ。2曲とも寺島和花の歌唱に引き込まれた。今後のハコムスの歌唱面は彼女や依田彩花を軸として動いていくのでは、という気がする。オーラスの「旅をつなげて」(17年4月リリース)は、我妻の熱い歌い出しが印象的な一曲。後半部分で再び卒業生が登場し、場内のエモーションをさらに高めた。
ぽにょこと我妻桃実は、この7月26日をもってリーダーを辞し、翌7月27日から吉田万葉(リーダー)、井上姫月(サブリーダー)体制になった。ぽにょは9月末にハコムスを卒業するが、その後はオリジナル・メンバーが誰もいない、史上一度も前例のないハコムスになる。最後の最後、吉田と井上が実に力強く抱負を述べ、そのままアンコールなしで終了した。アンコールを置かないことによってこのコンサートはいっそう強い余韻を残すメモリアルなものになったと、ぼくは確信する。
8月のハコムスはTIF等の大型ライヴに出演、先日沖縄で撮影した写真集『ニライカナイ』(桃源郷、理想郷という意味)が9月4日に発売される。
https://hakoiri-musume.com/
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