top of page
執筆者の写真原田和典

WHY@DOLL/活動終了まで、あと4ヵ月。最高調を維持するヴォーカル・デュオが、2キーボード+1パーカッションをバックに、名曲の数々を新アレンジで披露

 活動終了を迎える11月30日まで、あと4ヵ月余り。人気ヴォーカル・デュオ、WHY@DOLLが活動終了宣言(7月17日)後、初めての定期ライヴ「WHY@DOLLレギュラー公演~Two sides glowing up~vol.8」を東京・渋谷Gladにて開催した。ここでは生バンドがサポートを務めた第2部の模様をレポートしたい。



 伴奏メンバーは、左から松浦碧(ステージピアノ)、エトウヒロノリ(カホン、ウィンドチャイム、トライアングル、タンバリン、シェイカー、ベル、ギロ等)、PITARI(シンセサイザー)。ギターやドラムスを含まない楽器編成が浮遊感濃厚なサウンドを放つ。どの曲にも、このコンビネーションを生かす新しいアレンジがほどこされていた。場内はWHY@DOLLのふたりを驚きと喜びに包みこむほどの超特大満員。ふだんオーディエンスを入れないエリアもすべて開放しきった。



 ファンはすし詰め状態だが、少しも騒がしくなることなく、じっくりと歌に聴き入る。その風景は実に感動的だったが、盛り上がるところではしっかり盛り上がるのもまたWHY@DOLLファンの良さだ。「It’s all right!!」ではステージ上のふたりと、思いのたけをぶつけるがごとく激しいコール&レスポンスを繰り広げ、“W・H・Y・D・O・L・L”というパートでは見事な合唱を展開した。「キミはSteady」はCDヴァージョンではブレイク(ストップ・タイム)が使われていたが、この日は横ノリの16ビートで軽快に進行。ロッズ(だと思う)を使ったエトウの繊細なシンバル・レガートも印象に残った。「Promises, Promises」では松浦の左手がベースの不在を補って余りある活躍を示す。




 立って歌っていた青木千春、浦谷はるなが椅子に座って、始まったのは「Hello Hello Hello」。アルバム『WHY@DOLL』では青木ソロ曲として収められていて、アコースティック・ギターを生かしたフォーキーなつくりだったが、鍵盤主体でアレンジし直されたこの曲も実に美しい。グループのオリジナル・メンバーとして、結成当初から多くのファンを癒し続けてきた青木千春の歌声は、まるでマイナスイオンが音符化されたかのよう。サビでは浦谷が、控え目ながらも美しいハーモニーをつけた。そしてアルバム『WHY@DOLL』ではパトリース・ラッシェン調のアレンジだった浦谷ソロ「忘れないで」は、ラテン・テイストに。エトウがギロを軽やかにこすり、PITARIはサンタナ時代のグレッグ・ローリー的な粘っこいオルガンの響きをシンセから導き出した。そして後半、青木のハモリが浦谷の歌声に重なり、さらにサウンド全体が広がりをみせる。



 “イントロを聴いただけではわからないくらい、アレンジされている曲もあります”というMCを証明したのが、「夜を泳いで」。なんとロック・ステディ~ラヴァーズ・ロック風味だ。WHY@DOLLのシックな衣装、間を生かした涼し気なバンド・アンサンブルに身をゆだねていると、なんだか夜の海辺にいるような気分になった。この日いちばんのアップテンポだった「ふたりで生きてゆければ」(7インチ・シングルとしても発売中)、ドラマティックなアレンジで展開した「LOVERS on EARTH」、ボサノヴァ風のアレンジに見事なハモリが乗った「Blue Summer」、もはや「Just The Two Of Us」と化した「Dreamin' Night」と、WHY@DOLLはひたすらオーディエンスをうっとりさせ、アンコールには初めてふたりで作詞した思い出の楽曲であるという「ラブ・ストーリーは週末に」を披露。バンド・ライヴでこれをプレイする時はジャズ界の俊英、石井裕太のサックスがフィーチャーされることが多いのだが、当ライヴにおける鍵盤主導の音作りは、また別の魅力を楽曲から引き出していた。


 現在のWHY@DOLLはリードもハーモニーもユニゾンも最高の域にある。7月23日には初のライヴ盤(ライヴDVDはこれまで何作も出ているが)『WHY@DOLLワンマンライブツアー2019WINTER-BAND LIVE-』も出た。そして9月19日から「WHY@DOLLラストライブツアー~We are always here for you~」が開催される。北海道出身の女性デュオとして、こまどり姉妹、ザ・リリーズ以来の大活躍を続けてきたWHY@DOLL。音楽への愛情にあふれたパフォーマンスを、さらに多くのひとに体感してほしいと心から思う。


「WHY@DOLLラストライブツアー~We are always here for you~」

9/29(日) DANCE LIVE13:00~/BAND LIVE18:30~ @RAD HALL(名古屋)

10/6(日) DANCE LIVE13:00~/BAND LIVE18:30~ @SPiCE (札幌)

11/10(日) DANCE LIVE13:00~/BAND LIVE18:30~ @ESAKA MUSE (大阪)

11/23(土) BAND LIVE15:00~ @浅草花劇場(東京)

11/24(日) 14:00~/18:00~ @浅草花劇場(東京)


WHY@DOLL http://www.whydoll.jp/

青木千春 https://twitter.com/aokichiharu

浦谷はるな https://twitter.com/humhum0401



閲覧数:319回0件のコメント

Comments


bottom of page