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執筆者の写真yasu

映画「ステップ」(4/3公開)のトークショーを開催。「遂に“素”を出した」という山田のコメントに、出席者一同“絶賛”

 大切なものを失った人たちの“10年間“の足跡を描いた感動作「ステップ」が、4月3日(金)より全国公開する。主演は名実ともに日本が世界に誇る個性派俳優・山田孝之。エキセントリックな役柄のイメージが広く浸透している中、久々に実年齢とも重なる等身大の父・健一を、しかも初のシングルファザー役で、娘・美紀を育てながら自身も成長していく様を体現している。健一や美紀を温く見守る登場人物に、國村 隼、余 貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈など豪華俳優陣が結集し物語を彩る。



 原作は、「とんび」「流星ワゴン」など家族の再生を描き続けてきた作家・重松 清。監督は、『虹色デイズ』『笑う招き猫』『大人ドロップ』などを手がけた飯塚 健。主題歌は秦 基博が本作のために書き下ろした新曲「在る」を提供。大切な人たちへの想いが込められた渾身の歌詞とメロディが、優しく、そして温かく、物語を包み込む。


 この度、3月5日(木)に本作の完成を記念したトークショーを実施。主演の山田孝之をはじめ、國村 隼、広末涼子、伊藤沙莉、飯塚健監督が登場し、撮影当時の思い出や裏話について語った。


 この日は当初舞台挨拶付き試写会を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の予防対策として中止に。しかし映画や舞台挨拶を待ち望んでいた多くの人々にメッセージを届けるべく、キャスト・監督が集まりトークショーを実施、映画オフィシャルTwitterでも生配信が行われた。


 主演の山田は、楽しみにしてくれていた人たちのためにも「いつもの8倍の元気でお送りしています!」と力強くコメントし、広末も「心配な毎日だと思いますが、『ステップ』は勇気や元気をもらえる映画だと思うので、ぜひ一人でも多くの方に見ていただけると嬉しいです」と語るなど、登壇者陣一同で現状が少しでも良くなることを願いつつ、映画の魅力をアピールした。



 本作で、大切な妻を失い、仕事と育児の両立に悩みながら、小さな娘を育てるシングルファザーの健一を演じた山田。個性的な役柄を数多く演じてきた山田にとって、新鮮味すら感じられるキャラクターだが、本人は「今回は演じていません。20年間エキセントリックな役を演じ続けてきましたが、今回遂に“素”の山田を出しました!」と堂々の“素”宣言!健一役を引き受けたことについては、「単純に、妻を失って娘を育てるというのは経験したことがないので、どんな気持ちになるんだろうと。飯塚監督とは過去もご一緒していますが、笑いの要素が多かったので、そうではない作品を一緒に作ったらどんな映画になるんだろう、どんな現場なんだろうというところに興味があった」と、その理由を語った。


 健一の義理の父で、健一と美紀を温かく見守る姿に胸を熱くさせる村松明を演じた國村は、そんな山田との共演で「素の山田君に引っ張られた」ことを告白。「脚本を読んで『明さんはチャイルディッシュだなあ』と感じていたのと、山田さんもそういう側面があったから、現場で引っ張られたんですかね」と自身の演技にも影響があったことを明かした。また、別の作品でも山田と共演歴のあるある國村は、「どんな現場でも役者・山田君の印象は変わらない。毎回役ごとに別人になる方なので、私自身もそういう風にありたいといつも思います」と山田を絶賛し、山田が照れる一幕も。山田もまた「國村さんとご一緒するときはいつもワクワクします。安心感があって嬉しいですね」と語り、“相思相愛”っぷりを見せつけた。


 健一の同僚であり、過去に関わる秘密を抱えた奈々恵を演じた広末は、「抱えているものがあると慎重になりますし、だからこそなるべくフラットに演じたいと思っていました」と役への想いをコメント。


 また、事前に役者陣と顔を合わせる機会が無かったことから、役を作り込まずに現場に飛び込もうといざ行ってみたところ、「山田さん演じる健一が戸惑っている感じとか不器用な感じとか、それが役作りなのかご本人の性質なのかわからないですけど、すごく伝わってきて。それが自分の緊張感なのか、奈々恵としての戸惑いなのか?という空気が生まれたので、私も素に近かったかもしれないです」と、山田の影響で自身も“素”の状態を意識することがあったことを明かした。さらに、健一役に挑戦した山田について「イメージと違う役だったのですごく楽しみだったんですけど、この役が素だったというのをここで初めて聞いて、嬉しかったです!」と笑顔を見せた。広末とは初共演となる山田は、「お会いするのはこの作品が初めてだったので、『広末涼子いる!』って本当に緊張してたんです。だから、素です!」とあらためて“素”をアピールした。


 飯塚監督も、今回の山田を「初めて見る山田君でした。すごく大切なひとを亡くしたということを撮影中ずっと考えてくれているたたずまいで、大変そうでした」としみじみ振り返った。


 幼少時代の美紀が通う保育園のケロ先生を演じた伊藤は、初めて脚本を読んだ時からこの役を演じることを熱望していたことを告白。「ケロ先生がやりたいですってずっと言っていて、言ったからには絶対にがっかりさせられないと思ったし、出番はそこまで多くないけど、健一さんと美紀ちゃん親子に伝えらえることってなんだろうと考えながら演じました」と思い入れの強さを語った。山田との共演については、「保育園のシーンでは、山田さんは見たことのないやわらかい顔をしていました。その前の作品では、やわらかくない人の役だったから(笑)初めて見る孝之さんでちょっと緊張しました。でもパパの顔をしているのってあまり見られないから、それはすごく新鮮で、陰からずっと見ていました」と、本作でのレアな山田と楽しんで向き合っていたことを語った。これに対し山田は、「20代の頃エキセントリックなことを色々やってきて、そろそろキャラの限界を感じてきたので…柔軟剤のCMとかも取りに行かなきゃいけないということもあり、今回オファーを受けさせていただきました」と会場を笑わせた。


 そんな本作でメガホンを取った飯塚監督は、もともと重松清の原作小説「ステップ」の大ファン。熱い思いを綴った手紙を重松に送り、長い時間をかけて映画化を成し遂げた経緯を持ち、「特別な出来事はあまりないですが、子育てをしていくなかで、子供が寝がえりをうったりするだけでも劇的な変化だし、そういうことを丁寧に描ける作品だと思って、絶対映画化したいと思いました」とその思いを明かした。さらに「悲しい出来事があって、それを軸に主人公たちが育っていくお話ですが、悲しみを解決するような物語ではなく、悲しみともうまく付き合っていくしかない、というところがとても響いて。劇的にしたり映画的に済ませるのではなく、ずっと付き合っていくということはどういうことかなど、考えながら脚本も書かせていただきました」として、あらためて『ステップ』の魅力を語った。


 またトークの終盤では、映画『ステップ』が“大切なものを失った人たち”が一歩一歩前を向いて歩いていく、10年間の足跡を描いた物語であることにちなみ、登壇者に「この10年間でステップアップしたと思うこと」をそれぞれ語り合った。


 山田は「ステップアップしてるかな…」と考えた後で、MCやキャスト陣からの声援を受けて「プロデューサーや監督に挑戦したこと」をピックアップ。國村は、映画に力を入れて取り組んでいくなかで「日本だけでなく外国の映画人たちとも一緒に映画を作る経験が増えたこと」を挙げ、その喜びを語った。広末はトーク中の山田のコメント受けながら、「山田さんが柔軟剤のCMに出るって想像つかなくて、また新しい世界だと思うんですけど。私はこの10年で、子育てに関しては相当ステップアップしたと思うので、私のほうが柔軟剤のCM、いいかな(笑)」と語り、これに対して山田は「一緒にやりましょうか!」、國村は「隣のおじさんはいりませんか?」、飯塚監督も「お仕事お待ちしています!」と、息の合ったチームワークを見せていた。


 最後には、主演の山田から映画を楽しみにしているファンへメッセージが送られた。

「健一はシングルファザーという設定がありますが、彼ひとりではなくて、家族や同僚、出会っていく多くの人に救われながら生きていく人生の物語です。観る人の年齢とか性別、職業と関係なく誰でも観られて、誰にもどこか刺さる部分があると思います。映画の中で成長を描いているように、自分が変わった時に見たらまた見え方が変わる作品だと思うので、ぜひ公開してからも、5年後10年後と、この作品を大事にしてもらえたら。素の、山田が観られます!」


映画「ステップ」

4月3日(金)より全国ロードショー


■あらすじ

健一はカレンダーに“再出発”と書き込んだ。始まったのは、2歳半になる娘・美紀の子育てと仕事の両立の生活だ。結婚3年目、30歳という若さで突然妻を亡くした健一はトップセールスマンのプライドも捨て、時短勤務が許される部署へ異動。何もかも予定外の、うまくいかないことだらけの毎日が始まった。そんな姿を見て、義理の父母が娘を引き取ろうかと提案してくれたが、男手一つで育てることを決める。妻と夢見た幸せな家庭を、きっと天国から見ていてくれる妻と一緒に作っていきたいと心に誓い、前に進み始めるのだ。美紀の保育園から小学校卒業までの10年間。様々な壁にぶつかりながらも、前を向いてゆっくりと<家族>への階段を上る。泣いて笑って、少しずつ前へ。


■原作/重松 清「ステップ」(中公文庫)

■監督・脚本・編集/飯塚 健(『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』、『笑う招き猫』、『虹色デイズ』)

■出演/山田孝之、田中里念、白鳥玉季、中野翠咲、伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子、余 貴美子、國村 隼 ほか

■主題歌/秦 基博「在る」(AUGUSTA RECORDS/UNIVERSAL MUSIC LLC)

■製作プロダクション/ダブ

■配給/エイベックス・ピクチャーズ

(C)2020映画『ステップ』製作委員会

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