映画「WALKING MAN」公開記念舞台挨拶が10月20日、東京・新宿バルト9で行われ、ヒロイン役を務めた優希美青と、メガホンをとったANARCHY監督、そしてスペシャルゲストとしてヒップホップアーティストのZeebraが登壇した。
ANARCHY監督の「映画を作りたい」という強い思いが実現し作られた本作は、貧しい境遇に生まれ人前で話すことが苦手な一人の青年・佐巻アトム(野村周平)が、ラップと出会うことで自身の道を切り開き、底辺の生活から抜け出すために奮闘する姿を描いた青春ドラマ。優希はアトムの妹、ウラン役を務める。
10月12日(土)に予定されていた初日舞台挨拶が台風の影響で中止となるも、この日改めて挨拶を実施、多くの観衆が映画館に集まってくれたことに礼の言葉を述べるANARCHY監督と優希。
そしてANARCHY監督は改めて「いろいろみんなに届けられるメッセージが沢山あったので、映画という形でみんなに届けばな、という形でこの映画を作りました」と映画作りを決めたときの気持ちを振り返る。
しかし今作で初監督を務めたものの、映画作りとしてはド素人で「キャスト、スタッフの中で一番わからなかった」と様々な壁にぶつかっていたことを思い返し、「いろんな苦労はあり、勉強してどんどん学んでいった感じなので、映画って大変なんだなと思いました」と苦労を回想する。
しかし「バイブス(気持ち)で船を動かしたし、そのかじを取るのは僕なので、行くところまで行くしかない、手を出したからには自分の今持っている力を精いっぱい出して、みんなに届けられるメッセージを込められたらと思い、映画を作りました」と覚悟を持って映画作りに臨んでいたことを明かした。
一方でANARCHY監督に対して優希は、対面前には怖い人間だと恐れていたことを振り返りながら、撮影現場に関して「現場がピリピリしていても、ANARCHYさんからハッピーオーラが出ているので、サーっといい雰囲気になっていたと思います」と回想。また冬の撮影現場で暖かい飲み物を優希に与えるなど気さくな面も見せており、優希は優しい雰囲気を感じたと語る。
そんな優希に対してANARCHY監督は「結構大変な役をさせたなと」と振り返るも、優希自身の演技に「結構表現するのは難しかったと思うけど、台本を読んで自分の中にキャラクターをしっかり心に入れてくれ、現場に挑んでくれたので、特に僕が言うことなかった。最高の女優です!」と絶賛の言葉を贈った。
また、時間がない中で楽しかったという現場に対して戻りたいか?とたずねられると、ANARCHY監督は「戻りたくはないですね」とキッパリ。大変だった現場を振り返りながら「戻るくらいなら新しい映画を作って、またメッセージを届けたい。この作品が音楽でいうファーストアルバムにもなる作品になったと思うので、観てもらって、また次のステップに進みたい。また映画を作りたいという気持ちにも僕の中に芽生えたので、これからも作品を作っていきたいという気持ちになっています」と語った。
一方優希が演じるウランは、アトムに対し生意気な態度をとる妹であり、役作りとしては私生活で弟に罵声を浴びせられることが参考になると考え「弟を参考に役作りをして、周平に暴言を吐いていました」と明かす。そんな優希の役作りに、ANARCHY監督は「台本にないくらいの暴言を吐いてくれましたね」と茶々を入れ、笑いを誘った。
現在NY留学中のためこの日の登壇がかなわなかった主演の野村だが、この舞台挨拶に向けてメッセージをしたためており、この日紹介された。メッセージでは「僕もANARCHY監督も、全スタッフも本当に魂を込めて作った作品なので、皆さんぜひ楽しんでください」と言葉を寄せながら、野村は現在NYでラッパーを目指してリリックを書き奮闘しているとの状況をしたため「日本に帰ったら、ラッパーとしてデビューするので、ANARCHYさんよろしくお願いします!」とのコメント。
それを聞いてANARCHY監督は「ラッパーになることをなめんなって」と痛恨の言葉を返しながら「でも(彼は)最高の俳優です、最高の演技をしてくれるし。ラップをしたらウィル・スミスみたいになるかな、彼には期待しているし、また一緒に仕事をしたい」と自身の想いを語った。
一方、優希は「なんで不在なんだ? 主演がいない舞台挨拶で、プチパニックになっています」と野村不在の舞台挨拶の心境を語りながら「手紙で“ANARCHY”って4回も書いているのに、“美青”という名前が無かった。お兄ちゃん、妹に対してコメントなかったです…」と少し寂しそうなコメント。
途中にはスペシャルゲストのZeebraが登場。映画公開のお祝いとしてANARCHY監督に花束を贈呈、ANARCHY監督は「先輩が来られたら緊張しますわ」と思わず恐縮。そんなANARCHYにZeebraは昔ウィル・スミスが映画舞台挨拶に登壇したときのことを振り返り「そのときにウィルはラップしてくれました。ANARCHYはどうなのかな~!さんざんやらせたのに、俺のときにはやってくれないなんて寂しいな~」とプレッシャーのコメント、会場を沸かせた。
一方でZeebraはANARCHY監督に「ヒップホップって、例えば“Zeebraは若いうちにオヤジになった”とか、“ANARCHYは悪かった”とか、みんなそういうストーリーが楽しいじゃないですか。だからその意味でやっぱり映画というのは、本当にそのストーリーを疑似体験できるものとして、ヒップホップにはすごく大切なもの。でもなかなか日本ではそれを作るということを、これまでやってこれなかった。それをANARCHYがついにやってくれたということで、すごく嬉しく思っています」と称賛の言葉を贈った。
そして最後に、ANARCHY監督は映画公開に対して「自分が詰め込みたいメッセージも詰め込んだし、みんながこの映画を見て、夢がなかったとしても夢を見つけてもらったり、夢を持っている人も一歩踏み出す勇気になるような映画になったと思うので、皆さんも広い心でこの映画を楽しんでください。そしてみんなヒップホップを好きになったり、ラップに興味を持ってもらったり、一歩踏み出したり、夢を持ってもらったら、俺はこの映画を作ってよかったなと思います」とメッセージを送った。
映画『WALKING MAN』
作品概要
日本を代表する実力ナンバー1のカリスマラッパーANARCHY(アナーキー)が初監督、人気漫画家の高橋ツトムが企画プロデュース、ドラマ「民衆の敵」などの梶原阿貴が脚本とボーダレスなチームで挑む完全オリジナル作品だ。主演に、ドラマ、映画にとどまらず、ファッションやカルチャーなどエンタテイメントの枠を飛び越えボーダレスに活躍する、『ちはやふる』シリーズ、『帝一の國』、『ビブリア古書堂の事件手帖』などの人気俳優野村周平を迎える。主人公は、極貧の母子家庭で育ち、幼い頃から吃音症でコミュ障、さらに事故で重症の母親を抱え、思春期の妹を放っておけない気弱で心優しき不用品回収業のアルバイトで生計を立てる青年だ。そんな青年が、RAP音楽と出会い、最底辺の生活から抜け出すべくバカにされながらも、奮闘し成長を遂げていく鮮烈な青春物語だ。監督自身の実体験なども盛り込まれた本作は、半実話ともいえる作品となっている。プロデューサーは、『さくらん』、『ヘルタースケルター』、『くちびるに歌を』の宇田充が務める。
キャスト
野村周平 優希美青 柏原収史 伊藤ゆみ 冨樫 真 星田英利 渡辺真起子 石橋蓮司
スタッフ
監督:ANARCHY 脚本:梶原阿貴 企画・プロデュース:髙橋ツトム
主題歌:ANARCHY "WALKING MAN"(1% | ONEPERCENT)
制作プロダクション:ブロードマークス 配給:エイベックス・ピクチャーズ
製作:映画「WALKING MAN」製作委員会
(C)2019 映画「WALKING MAN」製作委員会
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