演劇カンパニー、アリスインプロジェクトの舞台はどのキャストに注目しても楽しめる。8月7日から池袋・シアターKASSAIで始まった「真約 魔銃ドナー」(脚本・演出:細川博司<バンタムクラスステージ>)も、その例外ではない(18日まで計18公演上演)。これは、制服少女と吸血一族の壮絶な戦いを描き、ガン&ソードの迫力あるアクション、制服×ゴシックの世界観などが話題を呼んだ人気作「魔銃ドナー」の待望の再登場ヴァージョン。とはいっても単なるリメイクではなく、大阪で上演された細川博司演出版(新井ゆうこ時代の有村藍里や、ミライスカートの児島真理奈が出ていた)を、新たなエピソードも加えリブート上演する。7日に行なわれたゲネプロ(通し稽古)から、場内は超満員。関係者や同業者間でもすこぶる関心の高い舞台が、この「真約 魔銃ドナー」なのだ。
スリリングな展開が続く劇中で、ひときわ大きな声、豊かな表情で光っていたのが佐々木円(ささき まどか)だ。ぼくは仕事とはまったく別にふらっと演劇を見たりライヴハウスに行ったりすることが少なくないのだが、5月に中目黒のキンケロシアターで行なわれた舞台「劇団わ本公演『茶燕は里に還らず』」で、決して出番は多くないながらも快い後味を残していたのが彼女だった。またこの女優が観たいと思っていたところに、アリスインプロジェクト初参加の知らせを入手したのだから、これはインタビューしない手はない。
“会場の一番後ろにもしっかり声が届くように演技したい”と語る気鋭に話を聞いた。
――アリスインプロジェクトには今回が初参加だそうですね。
そうです。アイドルさんがいっぱいいて、みんな華があって、独特の雰囲気がありますね。もちろん他の舞台にも華やかさはあるんですが、アリスインプロジェクトの場合はピンクの花がいっぱい咲いているような感じで、すごいなあと思います。初めて舞台に挑戦する子もいっぱいいるんですが、みんながその役にぴったりというか、もうその子しかいないという感じの配役がされていて、そこも特徴だと思いました。お客様にとって、出演する女の子みんなの魅力が楽しめる舞台になっているんじゃないでしょうか。
――今回の役どころについて教えてください。
私が演じる“君島とも”ちゃん(須田理夏子とのダブルキャスト)は、新人のドナーなんです。最初に台本を確認したとき、私の年齢よりもずっと若い子なんだろうなと想像しました。そのまま若い子を演じてもイタいものになると思ったので、私なりに年齢を少し上げて演技しています。ドナーは痛みに耐えることができてからドナーになれるので、その痛みに耐えるのに時間がかかった子だろうという背景を自分で考えました。君島ともちゃんは、けっこうしっかり者だけど、あこがれの坂上桜子ちゃん(神村風子)を見て盛り上がっちゃうところもあって、やっぱり先輩たちに比べてまだまだ幼いんですよ。
――いつ頃から女優活動を始めましたか?
3年ほど前に専門学校に入って、演技の勉強を始めたんです。そこで細川博司さんにお世話になりまして、その縁で今回の舞台に声をかけていただきました。細川演出はリアリティを大切にしていて、すごいスピード感がある。もちろんお話自体もめちゃめちゃ面白くて、細川さんの作品に出演することはやめられません(笑)。確実に面白いものに出させてもらえるという安心感があるんです。演じるということに関しては、とにかくその場の雰囲気を把握して、台本を読んで、このシーンはどういう意図で書かれていて、それに対して私はどういう演技をすることで劇全体の雰囲気を盛り上げていけるのかということを意識しています。いろんな映画や役者さんを参考にして、今に至るという感じです。
――よく通る声と、豊かな表情は佐々木さんの武器だと思います。
会場の一番後ろにもしっかり声が届くように演技したいですね。初めてのアリスインプロジェクトにたくさんのアイドルさんと一緒に出演させていただいて、すごくかわいい子がいっぱいいるんですけど、もしよければ、私の表情にも注目していただけたら嬉しいです。
舞台「真約 魔銃ドナー」
8月18日まで、池袋シアターKASSAIにて上演中
<キャスト・シングル>
白石まゆみ 里於奈 神村風子 こみつじょう 羽柴なつみ 草場愛 河地柚奈 國井紫苑 鈴木千菜実 沖田桃果 天音 長谷川麻由 夢月 梅原サエリ 着崎花梨 東城希亜 泉谷裕美
<キャスト・変則W>
錦織めぐみ 結城美優
<キャスト・W月組>
水湊あおひ 佐々木円 増田南美 菜花まりあ 森本ゆき 佐藤真代
<キャスト・W星組>
朝倉奈珠希 須田理夏子 古川杏 琉河天 未棟友理奈 戸村美優
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