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  • 執筆者の写真yasu

区役所の屋上で苦悩するオトナたちの魂の叫びを感じて! 舞台「オトナインデッドリースクール」本日より上演開始。10月8日まで

更新日:2019年11月1日

 新しく誕生した演劇ユニット「松扇アリス」の最新舞台「オトナインデッドリースクール」のゲネの模様が、10月3日、池袋のシアターKASSAIで報道陣に公開された。



 これは、演劇カンパニー・アリスインプロジェクトの人気作「アリスインデッドリースクール」を、同作とも関係の深い松本陽一、扇田賢、麻草郁の3人が新たに起こした先述の演劇ユニットが作り上げた、新たな作品(いわゆるスピンオフ)。ストーリ―や登場人物のキャラ設定は大枠オリジナルと同じながらも、性別や年齢を変えることで、どういうドラマが描けるのか? を具現化した舞台となっている。



 本日より公開される「オトナインデッドリースクール」は、アノ世界の登場人物たちが、20年後にアノ惨事に巻き込まれたらどうなるのかを、芸達者なオトナ組女子が演じている。ちなみに、来週10月10日より上演の「オヤジインデッドリースクール」は、その名の通り、20年後、少し頭が薄くなり、腹が出てきたオヤジたちが、アノ惨事に遭遇したらどうなるのかを表現している。



 さて、話をオトナイン~に戻すと、屋上が舞台となるのは同じだが、場所は区役所となる。総務課に勤務する優(七海とろろ)と信(遠藤瑠香)は、日々屋上で漫才の稽古をしていたが、ある日、そこに続々と人が集まってきて、いつになく賑やかになった最中、アノ惨事が起きてしまう。果たして、彼女たちは生き残れるのか……、というのが物語の柱となる。



 会見時に演出担当の松本が語っていたように、世間に出て20有余年。社会人として生きてきた彼女たちの言動は、オリジナルの箱入り娘たちが見せたそれとは明らかに異なっており、これからの人生をどう生きようかという希望に溢れていたオリジナルに対し(それを粉砕されるのだが)、これまで生きてきた人生とこの事件の折り合いをどうつけるのか、という別軸の葛藤に苛まれるオトナたちの苦悩が、よりリアルに表現されている。そこは、芸達者な役者たちを揃えた今回の座組の成功ポイントとも言えるだろうか。



 加えて、(セリフを含めて)細部にはいくつもの変更が加えられており、中でも筆者が強く印象付けられたものは以下の3点。一つは、物語後半で印象的に使われるあのアイテムがなくなっていること。一つは、高森と紅島の関係。最後は青池和麿と竹内珠子の“覚悟”の強さ。そこも含めて、オリジナルとの差分をぜひ、ご自身の目と耳で確認してほしい。


 以下、会見でのコメントを抄録します。

●七海とろろ

今日のゲネが一番緊張しましたが、始まったからには千秋楽まで走り切るだけです。優の生きざまは尊敬していますが、稽古を重ねてきて、その思いがより強くなりました。一人じゃ何もできない優だけど、周りのみんなに助けてもらうことで、パワーをもらうことで、最後のシーンに臨めていると思います。最後まで頑張ります。


●遠藤瑠香

昨年は子供(高校生)の優を、今年はオトナの信を、それぞれ演じさせていただきました。ガラッと雰囲気が変わったなという印象で、演じていて楽しかったです。


●椎名亜音

氷鏡はひじょうに難しい役で、製作発表会見の時は稽古場で孤独していますと話しましたが、それ以降仲間ができまして(笑)、おかげで人間味のある氷鏡を演じられたんじゃないかなと思います。ちょっと宇宙人っぽい氷鏡が、オトナの世界の中で生きている姿をリアルに演じられるように頑張ります。


●高瀬川ステラ

今年初めには高校生の紅島を演じて、今回はオトナになった紅島を演じて、一年の中で同じキャラを異なる設定でやるのは、面白いというか、時の流れの速さを感じましたね。37になった紅島は、オリジナルとは違って自らリーダーシップを取るというよりは、みんなの背中をそっと押すタイプになっています。そこは20年の歳月を感じたポイントです。


●Setsuko

市長然としているのが難しかったですね。でも、そこから姪である優との距離が縮まっていくさまは、本当の家族になったかのような温かいものを感じて演じていました。


●蒼矢朋季

稽古をかさねるうちに、みんなへの思い(愛しさ)がどんどん強くなって! 珠子も最後はそういう気持ちを持って、みんなの元を去っていくんじゃないかなって感じています。自分の運命を悟っているからこそ、みんなには自分の思う生き方をしてほしいと伝える。そういう思いを表現できる芝居を心掛けたいです。


●松本陽一

チームワークのいい座組なので、ここまで順調に仕上がってきて、一昨日、昨日と僕はほぼ仕事らしいことはしていませんでした。キャストがいい舞台を作ってくれたなと感じています。今回も、シンプルな演出を心掛けましたが、屋上で繰り広げられる泣き笑い、怒り、別れといったものは、女子高校生だろうがオトナだろうが、オヤジだろうが同じで、役者の息吹を感じられる、命の叫びを感じられるものにしようと思って演出しましたので、役者の熱量を楽しんでもらいたいです。


舞台「オトナインデッドリースクール」

10月8日まで、池袋シアターKASSAIにて上演中

<キャスト>

七海とろろ 遠藤瑠香 椎名亜音 高瀬川すてら Setsuko 真野未華 市倉有菜 八木橋里紗 井坂茜 高宗歩未 渡壁りさ 大仲マリ 川又咲 稲葉麻由子 八坂沙織 蒼矢朋季





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