演劇ユニット「松扇アリス」の新作舞台として現在上演中の「オトナインデッドリースクール」に出演している渡壁りさ。演ずるのは、市役所の税務署係長・猪狩薫だ。会見時の記事でも紹介したように、彼女は4年前に上演されたアリスインプロジェクトの「アリスインデッドリースクール ビヨンド」でも同役を演じており、設定や背景は違えども、女子高校生版と今回のオトナ版(30代後半の設定)の両方を経験することとなった。ここでは、4年ぶりに、そして大人になった薫を演じた感想を聞いた。
――ゲネお疲れさまでした。設定は異なりますが、4年ぶりに同じ役(?)を演じてみていかがですか?
ありがとうございます。年齢などの設定も異なりますけど、高校を卒業して20年、高森先輩(市倉有菜)の苦悩もずっと知っていますし、久しぶりにあった紅島先輩(高瀬川すてら)への思い(怒り)もありますし、そこへゾンビ事件が発生しての恐怖という感覚もあって、いまだに(役づくりの)葛藤はあります。
――今回の薫は?
おそらく、屋上にいる人間の中で一番笑っていません。みんなが楽しんでいる時も、優と信が漫才をする時も、なんでこんな時にそんなことしてるんだっていう怒りを爆発させている役ですね。
――渡壁さんがいつも演じられる通りの強い印象があります。
際立っていると思います。
――最後まで、屋上メンバーとはなじみませんね。
ちょっとネタバレしてしまえば、最後の夢のシーンでは生き生きと高森先輩と談笑しているんです。私の中でも唯一の楽しみの場面ですし、楽しい時間を過ごしています。
――本作の薫を演じ上で注意している点は?
オリジナルの高校生版では、やはりコドモなので、思ったことをそのまま言ってしまいますけど、本作(オトナ版)では、オトナになった分、抑え目にしています。
――結構、紅島に向かっていってましたが(笑)。
あれでも抑えているんですよ(笑)。
――本作では高森と紅島の関係の変化も、物語の軸に大きな影響を与えます。
あの(高校時代)時、あなた(紅島)が起こした事件のせいで、高森先輩がその後20年も悩んでいるんだという怒りと、紅島先輩ならそんな事件を起こしても戻ってきてくれると思っていたのに、戻ってこなかったという、二重の怒りに苛まれています。
――ちょっとネタバレしますが、本作では紅島もある意味で被害者、という立場にいます。
そうした設定変更を踏まえて、二人の関係(芝居)を見ていただくと面白いと思います。個人的には、薫が紅島に向かっていくところと、高森先輩の最後のシーンが見どころだと思っていますので、ぜひ注目してほしいです。
――高森先輩のラストシーンも含めて、演出やセリフが微妙に変わっています。
そうなんです。ちょっとネタバレしますけど、今回夢のシーンで携帯がなくなっているんです。オリジナルでは、自分と会話しているという設定だったんですけど、今回それを無くすことで、生きていたらこうやって楽しく話していたんじゃないかっていう演出になっているんです。死ななければ、こういう和気あいあいな未来がやってきたんじゃないかって。
――役者として、4年経って同じ役を演じるという経験は?
4年前よりは、舞台に立つ経験ははるかに増えていますし、2×歳になりましたので、成熟した大人の魅力も出せるようになってきたんじゃないかなって思います。前ならすぐにテンパってしまうことも、いまなら冷静に対処できるようになりました。そうした自分の成長が役にも出せていたらいいなと思います。
――渡壁さんというと、舞台上での野太い声も印象的ですが、今回は普通ですね。
実は、地声は結構キンキン声なんですよ。なので、強い役の時は腹から出すようにして低くしているんです。けど、テンション上がっちゃうとキンキンしちゃうので、今回は高くならないように、低くなりすぎないようにと、気を付けて発声しています。特典会の時の声が普段の声なので、気になる方はぜひ(笑)。
――そういえば、役者になって何年目ですか?
6年目になります。高校生の時に役者になりたいと思って、卒業して上京したんですけど、どうやって出たらいいのかが分からず、一年ぐらい浪費してしまって……(笑)。20になる少し前に初舞台を経験させていただいて、アリスインプロジェクトさんの舞台は20になった年の「ラストホリデイ」(2012年)が最初です。制作発表会見でお会いしたヤスさんのことは覚えています。
――あっ、ありがとうございます。ところで、近況はいかがですか?
この一年ほどは、制服役がどんどん減ってきました。前は一年通してほぼ制服役だったんですけど、ここ一年ほどはほぼなくなったので、ここからが役者としての第二章というか、実力がより問われていくんだろうなと思っています。頑張ります。
――年々若返っているようにも見えますが(笑)。
ありがとうございます。そう言われることが、最近増えました(笑)。
――今後の告知があれば。
10月18日から「蜂巣祭~2019秋の陣」に、11月13日から「ノッキンオンヘブンズドア」に、出演させていただきます。よろしくお願いします。
舞台「オトナインデッドリースクール」
10月8日まで、池袋シアターKASSAIにて上演中
<キャスト>
七海とろろ 遠藤瑠香 椎名亜音 高瀬川すてら Setsuko 真野未華 市倉有菜 八木橋里紗 井坂茜 高宗歩未 渡壁りさ 大仲マリ 川又咲 稲葉麻由子 八坂沙織 蒼矢朋季
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