昼の部が終了し、ハイタッチでファンを見送ったあと、60数分で夜の部が始まった。いよいよ、これがラスト・セットなのだ。14時開始のステージとはまったくダブらない、計29曲。同じように初期と近年のナンバーをバランスよく、いくつかセクションを組みながら送り届ける。「Tactics」、「ふわふわ♪Party」、「2月のエピローグ」、「菫アイオライト」、本当に幅広い。何グループ分に相当するであろう多彩な曲想を、このふたりは歌いこなしてきたんだなと実感させられる。
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<11月24日 18時開演の部>
01 Show Me Your Smile
02 Don't Ask Me Why
03 セツナSHOOTING STAR
04 Tactics
05 マホウノカガミ
06 Ringing Bells
07 シグナル
08 Forever(青木ソロ)
09 Notice me(浦谷ソロ)
10 Fight!
11 ずっと もっと
12 ふわふわ♪Party
13 君に逢いたい
14 またね
15 パウダースノウ
16 2月のエピローグ
17 shu-shu-star
18 LOVERS on EARTH
19 Sweet Vinegar
20 Dreamin' Night
21 ラブ・ストーリーは週末に
22 夜を泳いで
23 Mr.boyfriend
24 恋なのかな?
25 Tokyo Dancing
26 菫アイオライト
27 ありがとう。
<アンコール>
28 album
29 ケ・セラ・セラ
「恋なのかな?」ではハート型の紙が天井から降り(一部はサイン入り)、それがメンバーとファンの作る“指ハート”と快い風景を描く。本編ラストは、初期のバラード「ありがとう。」。これまでのワンマンライヴでも、ここぞというときに歌われてきたが、今回はどうしても“さよなら”“またね”的ニュアンスがくっついてきてしまう。客席からは、すすり泣きが聴こえる。
アンコールは手拍子ではなく、ファンの歌う「ありがとう。」のサビによって発動された。全員が歌っていたのではないか。最初こそ若干の乱れがみられたものの、次第に呼吸が合い、太いひとつの声となっていく。数分過ぎたころ、WHY@DOLLが再登場し、彼らと“合唱”する。
アンコールその1は、ふたりが作詞した最後の曲になる「album」。音盤としての“アルバム”と、思いの詰まった写真を張り付けた“アルバム”と、ふたつの意味をかけている。この日、この時がただ1回のライヴ披露だ。後期WHY@DOLLの音楽監督的存在で、最高の敬意をもってふたりの音楽面における成長を認めていたといっていいだろう吉田哲人が作曲した極めつけのバラード。一音も聴き逃すまいと静まる客席に、“ただ一度のライヴ歌唱”に限りないエモーションを込めるふたりの声が響き渡る。そして本当に、最後の曲は、やはり吉田のペンによる「ケ・セラ・セラ」。ファンはひまわり、クローバー、すみれなど、これまでのWHY@DOLL楽曲に出てきた花をかたどったオブジェをかかげ、途中ではテープが客席に向かって盛大に噴き出した。
MCでは“WHY@DOLLにいたから、皆さんに出会うことができた。WHY@DOLLでいることができて幸せでした”、“私たちが活動を終了しても、音楽は残ります。これからもWHY@DOLLの音楽を聴いて、元気になってもらえたら嬉しいです”、“時間を巻き戻せたらいいのに”、“上京してから一緒に住んで、一緒に活動して、ほとんど二人一緒でした。活動を終了しても、私たちは会います。ぜひファンの皆さんも、ばらばらにならずに、交流し続けてください”等の言葉が飛び出したが、個人的にほほえましかったのが“最後まで(音楽面での)最高を更新することを目標に活動を続けていたが、ハイタッチ会でファンの方に「かわいさも更新しているね」といわれて、それもすごく嬉しかった”というフレーズだ。
WHY@DOLLは、とくに後期は、いろんなミュージシャンと交流し、彼女たち自身も音楽への視野をさらに広げていった時期だったはずだが、ふたりは「脱アイドル」とか「アーティスト宣言」とかそれ的なうわっついたフレーズを決して言わなかった。かわいさをうざったく思ったり否定しようとはしていなかった。立ち位置を把握し、誠実に音楽に取り組んでいたのだと思う。実に品のあるヴォーカル・デュオだった。
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